第3回 日月進歩 レポート2(パネリストの所感から)

第3回日月シンポのパネリストと司会進行から、当日の所感をいただきましたのでご紹介致します。

田熊里子(36期/フィンランドの家具会社「ARKTIS」マーケティング担当

日月会シンポジウムに参加させていただいたきっかけは、フィンランドでの仕事を通してお会いした源ゼミ出身で編集者の尾内志帆さんからのお誘いでした。卒業後しばらくムサビから遠ざかっていましたが、今回の参加は出発点に立ち戻るよいきっかけになりました。
スカイプでの参加だったので、皆さんに直接お会いできなかったのが残念でしたが、ご一緒させていただいた田中さん、飯田さんの活動や考え方に共感できる部分が多く、ベースとする場所が遠く離れていても時代の流れの中で感じ取って行くものがリンクしているという感覚も得ることができ、そういった意味でもムサビ建築学科のつながりを確認したように思います。
変化の早い現代において、何事も進化させつつも古き良き大切なものは守るというバランスがとても重要だと思いますが、建築学科も気持ちよく前に進みつつ、シンポジウムで感じたおおらかで温かい雰囲気は変わらずにいてほしいと思います。

 
 
飯田 彩(37期/編集者・デザインコミュニケーター)

今回は建築設計を仕事としていない3人のパネリストということでしたが、私は、書籍の編集や、建築・デザインと社会、人と人をつないでいく仕事を通して、広い枠組みでの建築活動をしていると思っています。田中さん、田熊さんも、それぞれに「建築をやっている」という感覚を持ちながら、肩書きにとらわれないイノベーティブな活動をしておられ、お話をする中で、ムサ美建築学科で学んだ人材の多様な可能性をあらためて感じました。
教授陣から、建築学科の50周年に向けて、学科創設時の「建築家を育てる教育」という理念に立ち戻るというお話がありましたが、目指すべき「次世代の建築家」像をあらためて考える必要があると思います。
磯崎新さんが最近のインタビューの中で、アーキテクトとは、建築のみならず新しい構想を実現していく人だという主旨のことを話されていますが、そのような機能拡張した「アーキテクト」こそ、既存の枠組みにとらわれず、柔軟な思考ができるムサ美学生の強みが生きる姿ではないでしょうか。
学生の個性がますます輝く、建築学科の進化を楽しみにしております。

 
 
関係性のデザイン
司会進行・小倉康正(18期/武蔵野美術大学建築学科講師)

クリエイティブ・ファシリテーター、 “ARKTIS” マーケティング担当、デザインコミュニケーター。パネラーの方々3人の肩書きを並べてみると、どれもなじみのあるものとは異なります。
ディスカッションからみえてきたのは、従来の肩書きに対する違和感が3人に共通していることでした。あるいは肩書きに組み込まれることヘの違和感、と言った方が近いのかもしれません。自分が求めている仕事には新しい肩書き、つまり新しい枠組みが必要であったというわけです。デザインするということが、かたちをつくることのみならず、それに関わる人・モノの関係性までを含めた行為であるという意識が強く伝わってきました。
また、美大という場所で得た経験と、その後進学で経験した異なる価値感が、関係性からデザインを考えるきっかけとなったという3人の話は、まもなく50周年を迎える建築学科へのメッセージでもあったとおもいます。
田熊さんにはヘルシンキにある“ARKTIS”ショールームからスカイプで参加していただきました。シンポジウム開始時に映し出されたのは暗いショールーム。それが朝の到来とともに日差しにあふれる眩しい室内にうつり変わって行く様は、ミニマルミュージックのようにじわじわと沁みてきました。

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